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増加する歯科トラブル

近時歯科トラブルが増加した背景

歯科医療に従事している中で、法的な問題が生じることは多いです。

私たちは、歯科医師の方の相談を専門的に受けておりますが、特にここ数年、患者様から医療ミスと言われているとの相談が増加しております。

それは、どうしてでしょうか。ミスをする歯科医師が急激に増加したからでしょうか。

しかし、日々医療技術が発達している状況においてこの仮説にはあまり説得性がありません。 私たちが、医療事件を取り扱っている際に感じた理由として以下のものが考えられます。

1.メディアの影響で、患者様側の権利意識が高まったこと(物言う患者様の増加)

2.権利意識の高まりと反比例するように、歯科医師に対する信頼が揺らいでいること
 (医療過誤事件が多く報道されることで、お医者様が絶対であるという時代ではなくなったこと)

これらの理由から、今まではトラブルにならなかったことでも、「これは医療ミスではないか?」と思う患者様が格段に増え、さらに歯科医師に「ミスではないか」と言う患者様が格段に増えているのです。

今後歯科医師の方にとっては、患者様側が歯科医師に対して疑問を持ちやすくなっていることと、その疑問をクレームという形で表現しやすくなっていることを頭に入れておく必要があります。歯科トラブルは起きると長期化する傾向があります。

ここ最近まで、歯科医療事故は、死亡等の重篤な結果をもたらすことが少ないため、医療事件の中では比較的軽視されてきましたが、その反面、痛みが継続することや、見た目に関連することから、真実の解明や、損失の補填というよりも、歯科医師に対する怨恨を晴らすことを目的としたクレームになりやすく、問題が長期化・深刻化する傾向があります。

歯科トラブルの態様

歯科をめぐるトラブルと一口で言っても、その内容は多種多様です。 具体例をあげると、根管治療中に痛みが出た、抜歯により腫れが生じた、顎関節症の治療のための咬合治療で更に症状が悪化した等の治療行為そのものに関するクレームから、治療内容についてしっかりと説明を受けていない、治療費に納得がいかない、処方された薬でアレルギーが出た等の治療行為に付随するトラブルなどです。

クレームの態様としても、様々なものがあります。

治療中にミスをしたのではないかとクレームをつけられる場合、治療後に電話や手紙でクレームが来る場合、突然内容証明が送られてくる場合等は一般的ですが、もっとも歯科医師が驚かれるのが、裁判所から訴状が送られてくる場合、カルテを証拠保全される場合、刑事告訴される場合です。今まで、特に問題にならなかった事案も、クレームになっていると感じている歯科医師は多いようです。

歯科トラブルの解決方法

歯科医院を運営していく上では、トラブルが発生しないように気をつける必要がありますし、不幸にもトラブルが発生した場合には、円満に解決する必要があります。

トラブルを回避するためには何が必要か、トラブルが発生した場合にはどのように対処すべきかについては、コラムで、歯科医療過誤判例や当事務所が実際に経験した事案をもとにわかりやすくお伝えしていく予定です。