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解決事例集

事例21-虫歯治療の際、タービンの接触事故があり、治療に過失があったとして、患者様が担当歯科医師に対し損害賠償請求訴訟を提起した事例(東京地判H15.4.24)

患者様は、平成12年6月22日、担当歯科医師の妻が経営する被告歯科クリニックにおいて、担当歯科医師による虫歯治療を受けたところ、タービン(歯を削る器械)が原告の唇に当たり、長さ6mm、深さ0.5~1mmの傷害を負い、細い糸で4針縫うこととなった。なお、その後、その傷は、外見的には、近寄って注意深く見なければ見分けられない程度ではあるが、一筋の白い傷跡としてのこることとなった。そこで、患者様が、担当歯科医師に対し損害賠償請求訴訟を提起した。

判決日 患者様の特性 請求額 認容額
東京地判
H15.4.24
女性
(昭和40年生)
200万円 慰謝料 60万円
弁護士費用 10万円
争点 争点に対する判断
担当歯科医師が、タービンの操作を誤り、患者様に対し、本件傷害を負わせたか。 <結論>
歯科医師がタービンがぶれないように固定していた右手の薬指が滑り、急に止めようとしたが、その操作が間に合わず、患者様に傷害を負わせたと認められる
<理由>
担当歯科医師は、患者様が治療中に動いたため本件事故が発生したと供述したが、治療中の歯は既に神経を抜かれた歯であり、反射的に顔を動かすような痛みが生じたとは考え難く、仮に原告が動いたのであれば、本件訴訟に至るまでの間に、担当歯科医師がそのことに触れるのが自然である。しかし、本件訴訟に至るまで患者様が動いたという事は一切述べておらず、担当歯科医師の供述は信用することができない(事故後の患者様宛の手紙にも「唾液によって滑ったためか、圧排の力が弱かったためか」と記載されている)。
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