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解決事例集

事例7 -「治療した歯の痛みが9年間引かない」「歯の痛みで仕事が出来ず無職になった」「痛みを取り除くため他の歯も数本抜いたが痛みが引かない」などと主張し、患者様が治療の9年後民事調停を提起した事例

患者様は、来院時より口内状態が悪く、複数の歯を治療。1歯を削り、詰め物をした後、痛みが生じたとして、担当歯科医師に「治療された歯が痛い、どうしてくれるんだ」と怒鳴り込んできた。院長が、痛みについて謝罪をし、今までの治療費返還、本歯に関する治療は無料で対応すると返答。その後も、痛みで全身がしびれる等クレームの電話は幾度かあったものの、来院はなくなった。 事故の9年後(時効成立の直前)に民事調停が提起された。調停に出てきた患者様は、髪の毛は抜け落ち、本歯以外の歯も複数抜歯され、廃人のような状態であった。

患者様の主張するクレームの内容・請求内容 クレーム内容
治療した歯の痛みが9年間引かない、その後他院でその歯を抜歯したが、それでも痛みが残っている、歯の痛みで仕事が出来ず無職になった、痛みを取り除くため他の歯も数本抜いたが痛みが引かない、痛みで髪の毛も抜けたと主張。
請求内容
治療内容の説明を求めると要求があり、具体的な金額は述べていない。
解決内容 調停取り下げ
理由
問題の歯を抜歯した後も、痛みが全く引かないため、痛みと治療行為に因果関係がないこと、脱毛や他の歯の抜歯・痛みは当院での治療とは無関係であること、9年間の治療状況が全くわからないことから、法的な主張が難しいと反論。
トラブルに至った原因 通常の治療行為による痛みに起因し、患者様自身の心的要因も相まって、患者様が精神疾患に至ったケースと思われる。一定程度、こういった患者様はいるので、兆候がある場合には、同意書をとることと、カルテに詳細に記載することが必要。
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